「案件一覧はExcelにあるのに、最新の状況は担当者に聞かないと分からない」
「同じ内容を別の表にも入力していて、月末になると数字が合わない」
こうした問題が重なると、Excel管理をやめてシステムを導入すべきか迷うのではないでしょうか。
判断するときは、管理する件数や従業員数だけでなく、誰が入力し、誰が確認し、どこで手戻りが起きているかを見てみてください。保存場所や更新ルールを整えることで改善できる場合もあれば、複数人での処理や承認を支える仕組みが必要な場合もあります。
この記事では、IT専任者がいない中小企業の経営者・管理担当者に向けて、Excelを続けるか、運用を見直すか、システム移行を検討するかの確認点を整理します。
1.まず、困っている場面を一つ選ぶ
「Excelが複雑」という言葉だけでは、必要な対策が分かりません。最近困った場面を一つ選び、次の3点を書いてみてください。
- 何をしようとしたか: 今月の未完了案件を確認したかった。
- どこで止まったか: 担当者ごとに表があり、更新日も違っていた。
- 何が必要だったか: 全員が同じ基準で更新した一覧を見たかった。
これは説明用の仮定例です。この場合は、まず一覧の置き場所や更新時点をそろえる方法を検討できます。一方、案件ごとの履歴や承認状況も管理したいなら、それらを含めて比較する必要があります。
「新しいシステムが欲しい」を、具体的に何ができれば困らなくなるかに置き換えることから始めましょう。
2.Excel管理を続けるか判断する5つの確認点
次の表は、導入の必要性を点数で判定するものではありません。自社で何を確かめるべきかを整理するために使ってください。
| 確認点 | まず今の運用で見直すこと | システムも含めて比較したい状態 |
|---|---|---|
| 同じ情報を何度入力するか | 重複する表や報告を減らせないか、元の記録を決められないか | 顧客・案件・請求など複数の工程への受渡しがあり、転記や照合が続く |
| 誰がいつ更新するか | 保存場所、更新担当、更新のタイミングをそろえられないか | 同時に複数人が処理し、進捗や承認の管理が難しい |
| 担当者不在でも使えるか | 入力方法と例外時の対応を説明できるか | 数式やマクロの仕組みを説明・保守できる人がいない |
| 誰に何を見せるか | ファイルの共有範囲が業務上必要な範囲になっているか | 情報ごとに閲覧・変更できる人を分けたり、変更履歴を管理したりする必要がある |
| 続ける負担と変える負担はどうか | 毎回の集計、修正、問い合わせ対応にどの程度時間を使っているか | ルールを整理しても負担が残り、移行・教育・運用費を含めた比較が必要 |
新しいシステムにも、必要な機能があるとは限りません。たとえば履歴が残っても、必要な期間や範囲で確認できるかはサービスによって異なります。困りごとをそのまま確認項目にして、候補ごとに確かめることが大切です。
3.今のExcelを改善して続ける場合
管理する情報が比較的単純で、入力担当や利用目的も整理できるなら、まず運用を整える選択肢があります。
正式な保存場所と更新担当を決める
メール添付や個人のパソコンにコピーが増えると、どれを見ればよいか迷います。正式なファイルの保存場所を決め、誰が更新するか、いつまでに入力するかをそろえましょう。
複数人で共有する場合は、利用中の環境でどのように更新されるか、閲覧・編集の権限をどう管理するかも確認します。
入力項目と使い方をそろえる
同じ案件でも「対応中」「進行中」「作業中」が混在すると、集計しにくくなります。何を同じ状態として扱うか、入力する人同士で決めておきます。
もう使っていない列を減らすことも候補です。ただし、他の表や処理で使っている可能性があるため、削除する前に利用先を確認してください。
別の人が扱えるか試す
担当者の説明を聞きながら、別の人が入力・確認・集計を一度行ってみます。迷った箇所を短い手順として残せば、引継ぎで不足している情報が見えてきます。
改善を試す際は元のファイルを保管し、計算結果や出力が変わっていないか確認しましょう。動作を確かめないまま、日常業務で使っている数式やマクロを変更しないことも大切です。
4.システム移行を検討する場合
運用を整えても、複数人の処理状況を追えない、同じ情報を何度も転記する、必要な権限管理ができない、といった問題が残る場合は、システムへの移行も比較します。
最初に決めたいのは、次の4点です。
- 移す業務の範囲: たとえば案件の受付から完了までなのか、請求まで含むのか。
- 最初に必要な情報: 顧客名、担当者、対応期限など、日常業務で使う項目は何か。
- 管理を担当する人: 利用者の追加、項目変更、問い合わせ対応を誰が行うか。
- 試した結果の確認方法: 転記回数や確認待ちが減ったか、必要な情報を取り出せるか。
既存の表をすべて新しい画面に再現しようとする前に、使っていない項目や重複した処理を整理しましょう。過去の情報をどこまで移すか、元の記録をどう保管するかも決めます。
比較時には月額料金に加え、設定、データ整理、移行、利用者への説明、その後の管理にかかる費用と時間を確認します。契約を終える場合に必要なデータを取り出せるかも、候補の比較に含めてください。
Excelを一部残す方法もあります。たとえば入力・進捗管理を別の仕組みに移し、必要な集計だけExcelで行う設計です。その場合は、同じ情報を両方で更新する運用にならないよう、元となる記録を決めておきます。
5.小さく試し、判断する日を決める
改善案が決まったら、対象業務と利用者を絞って試します。試行期間は、週次や月次など、その業務を一巡できる長さを目安に決めてください。
開始前に、今の作業時間、転記回数、修正が起きる場面を記録し、試行後に同じ条件で確認します。
たとえば、毎日20分の転記作業が月20日あると仮定すると、月6時間40分です。これは作業量の計算例であり、その時間をすべて削減できるという意味ではありません。新しい入力や確認が増えれば、その負担も差し引いて考えます。また、作業時間が減っても、給与などの支出が同じだけ減るとは限りません。
続ける・直す・元に戻す条件を決めておくと、「導入したから使うしかない」という状況を避けやすくなります。
6.自社だけで判断しにくいときは
保存場所や入力ルールの整理であれば、社内で着手できることがあります。一方、営業・事務・現場の間で情報が行き来している場合は、一つの表だけを直しても別の担当者の負担が増えるかもしれません。
次のような状況なら、業務の流れを第三者と整理することが選択肢になります。
- どの表が何に使われているか、全体を把握できない。
- 現場の希望と管理側の希望が合わず、比較する条件が決まらない。
- Excelの改善と新しいサービスの導入を、同じ条件で比べられない。
- 導入後に誰が管理するか決まっていない。
アカンパニー・パートナーズでは、IT担当者がいない中小企業の業務の流れや困りごとを整理し、今の方法の改善も含めて、次に取り組むことを一緒に考えます。
初回相談は60分・無料です。新潟県内は対面またはオンライン、全国からはオンラインでご相談いただけます。詳しい比較・設計や設定作業が必要な場合は、その後の対応範囲と費用を別途ご案内します。
投稿者プロフィール

- 代表
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プログラマーとしてキャリアをスタートし、製造業の社内SEとして「工場」の論理を、士業事務所の社内SEとして「先生」の論理を肌で学んできました。異なる文化を持つ組織の中でITを推進するには、技術力以上に「聴く力」と「翻訳力」が必要です。
現在はその経験を活かし、新潟の中小企業のDXを支援しています。
ITコーディネーター/上級ウェブ解析士/上級SNSマネージャー



