光回線99.84%・5G人口カバー率98.1%——令和7年版情報通信白書が示す「インフラは整った」時代に中小企業がすべきこと

令和7年版情報通信白書(総務省・2025年7月公表)によると、日本の光ファイバ整備率は99.84%、5G人口カバー率は98.1%に達し、ICTインフラの量は世界トップ水準にある。モバイルブロードバンド契約数に至っては世界1位(203.5契約/100人)だ。問題はインフラではない。「使い方を知らない・決めていない」という中小企業側の課題にある。「つながる環境はある」という前提のもとで、中小企業が5Gと光回線を業務にどう活かすかを、現場目線で解説する。
この記事のまとめ
- 日本のICTインフラは量・質ともに世界トップ水準:光ファイバ整備率99.84%(OECD5位)、5G人口カバー率98.1%、モバイルブロードバンド契約数は世界1位(203.5契約/100人)。
- 5Gの3大特長:①超高速(最高10Gbps・映画2時間を3秒でDL)②超低遅延(1ミリ秒・ロボット遠隔制御)③多数同時接続(100万台/km²・IoT大量接続)。
- 白書が示す5G活用事例:トラクター自動運転・AI画像検査による製品品質管理・建設機械の遠隔制御。
- 中小企業が今すぐできる3アクション:通信環境の棚卸し・クラウド移行と光回線見直し・ローカル5G補助金の確認。
- 結論:「地方だから」「うちは小さいから」インフラが遅れているという時代は終わった。残された課題は「誰が・何のために・どう使うか」という経営の意思決定だけだ。
- 白書公式データ:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html
令和7年版情報通信白書が示す日本のICTインフラ——数字で見る「世界トップ水準」の実態
【このセクションの結論】
「うちの地域はネットが遅いからデジタル化できない」という先入観は、もはや事実に反する。日本のICTインフラは量・質ともに世界最高水準にある。
光ファイバ整備率99.84%・5G人口カバー率98.1%の意味
令和7年版情報通信白書のデータは、日本のICTインフラが量的に完成段階に入ったことを示している。
| 指標 | 数値 | 国際比較での位置づけ |
|---|---|---|
| 光ファイバ整備率(世帯カバー率) | 99.84% | OECD加盟国中第5位(2023年12月時点) |
| 5G人口カバー率 | 98.1% | 全都道府県で85%超(2023年度末) |
| モバイルブロードバンド契約数 | 203.5契約/100人 | OECD加盟国中1位 |
| 固定系ブロードバンド契約数 | 40.8契約/100人 | OECD加盟国中14位 |
| 5Gサービス契約数 | 69.4契約/100人 | デンマーク(103.6)に次ぐ2位 |
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」図表Ⅱ-1-2-1、2、5、6 / https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html#f00129 )
光ファイバ整備率99.84%の意味は単純だ。日本のほぼすべての世帯で、理論上は光回線を引けるインフラが整っている。5G人口カバー率98.1%は、都市部だけでなく全都道府県の85%以上のエリアで5Gの電波が届く状態を意味する。
新潟県に限っても、光ファイバ整備率は**99.95%**と全国平均を上回る水準だ。「地方だからインフラが遅れている」という先入観は、もはや事実に反する。
スマホ大国・日本だからこそ「つながる環境」は現場にある
日本のモバイルブロードバンド契約数203.5契約/100人は、2位の米国(190.1契約)、3位のエストニア(175.9契約)を大きく上回るOECD1位だ。
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」図表Ⅱ-1-2-2 / OECD統計 https://www.oecd.org/en/topics/sub-issues/broadband-statistics.html )
現場の職人や営業スタッフが持っているスマートフォンを通じて、いつでも会社やクラウドと「つながる土台」はすでに全員の手元にある。経営者が「まだ時期尚早だ」と感じているとすれば、それは物理的なインフラの問題ではなく、「社内でそれをどう業務に組み込むか」という活用体制の問題である可能性が高い。
【5Gの3大特長とは】
5Gとは第5世代移動通信システムのこと。「超高速(最高10Gbps)」「超低遅延(1ミリ秒程度)」「多数同時接続(100万台/km²)」の3つの特長を持ち、4G(LTE)の100倍の通信速度を実現する。
5Gとは何か——中小企業が知るべき3つの特長と業務への影響
【このセクションの結論】
5Gの本当の価値は「スマホでの動画視聴が速くなること」ではない。製造・建設・農業などの現場における「省人化」「自動化」「見える化」を実現するための強力な武器だ。
特長① 超高速(最高10Gbps)——映画2時間が3秒の世界が業務に何をもたらすか
5Gの最高伝送速度は10Gbpsで、LTE(4G)と比べて最大100倍の高速通信を実現する。「2時間の映画を3秒でダウンロード(LTEは5分)」という表現が白書でも用いられている。
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」図表Ⅱ-2-3-2)
業務への直接的な影響は以下の通りだ。
- 大容量データのリアルタイム転送:製造現場の高解像度カメラ映像をクラウドに即時送信し、AIによる品質検査が可能になる
- 大量のファイル・図面共有:現場と本社・外注先が大容量の設計図・仕様書をほぼ瞬時に共有できる
- 高精細な映像会議:遅延のないビデオ会議により、海外バイヤーや遠方のパートナーとのリモート商談品質が上がる
特長② 超低遅延(1ミリ秒)——遠隔操作・リアルタイム制御が変える現場
5Gの遅延時間は1ミリ秒程度で、LTEの10分の1以下だ。これにより「リアルタイムに遠隔地のロボット等を操作・制御」することが実用レベルで可能になる。
白書が具体的な事例として挙げているのは以下だ。
- トラクターの自動運転:農場内でのGPS・センサーと5Gを組み合わせた精密農業
- 建設機械の遠隔制御:危険な現場や人手不足の現場で、オペレーターが離れた場所から重機を操作
- 医療・福祉でのロボット制御:精緻なロボット操作をリアルタイムで実現
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第3節)
製造業・農業・建設業を営む中小企業にとって、この超低遅延は省人化・自動化の切り札だ。
特長③ 多数同時接続(100万台/km²)——IoTセンサーが変える「見える化」
5Gは1km²あたり100万台のデバイスを同時接続できる。LTEでは「自宅の部屋内でスマホやPCなど数個」しか接続できなかったのに対し、5Gでは「自宅部屋内の約100個の端末・センサーがネットに接続」できる。
これが中小企業に意味するのは、工場や倉庫に大量の温度・湿度・稼働状況センサーを設置し、生産状況をリアルタイムで可視化する「IoT活用」が現実的になるということだ。これまで大企業の専売特許だったスマートファクトリーへの道が、中小企業にも開かれる。
【「5Gは大企業向け」という誤解を解く】
「5Gって結局、大企業が工場に導入するもので、うちの規模じゃ関係ない」——そんな風に考えてしまっていませんか?
しかし白書が示す数字を見てほしい。日本の5G人口カバー率はすでに98.1%で、全都道府県で85%超のエリアをカバーしている。つまり、皆さんの事業所にも、ほぼ確実に5Gの電波は届いている。
問題は電波ではなく「活用の入口」だ。5Gを使い始めるのにゼロから設備投資する必要はない。まず自社のスマートフォンを5G対応に変え、既存のクラウドサービスとWi-Fiの速度を見直すだけでも、体感できる変化がある。
「現場の写真・動画を即時クラウドに上げて、本社や外注先とリアルタイムで共有する」という、ごく当たり前の使い方でも効果は絶大ではないか。大掛かりな投資の前に、まずは「今あるインフラで、どこを楽にできるか」の棚卸しから始めて欲しい。
白書が示す5G活用の実際——製造業・農業・建設業の事例
【このセクションの結論】
白書が示す5G活用の実証事例は、製造業・農業・建設業という中小企業に身近な業種で進んでいる。「特殊な技術」ではなく「現場の課題解決ツール」として機能しはじめている。
製造業:AIを利用した画像解析による製品検査
5Gの超高速・超低遅延を活用し、製造ラインに設置した高解像度カメラの映像をリアルタイムでAIが分析し、製品の不良・傷・異常を即時検出する取り組みが実証されている。
従来の人による目視検査と比べた場合の優位点は以下だ。
- 24時間無人検査が可能:夜間・休日も検査ラインを止めない
- 検査精度の均一化:人の疲労・スキル差による検査ムラがなくなる
- データの蓄積と改善:不良パターンのデータが自動で蓄積され、品質改善にフィードバックできる
製造業の中小企業が「人手不足で品質管理が追いつかない」という課題を抱えている場合、5G×AI画像検査は有力な解決策になる。
農業・建設業:トラクター自動運転・建設機械の遠隔制御
白書では「トラクターの自動運転」と「建設機械の遠隔制御」が5Gを活用した具体的な取り組みとして明示されている。
農業分野では、GPS・各種センサーと5Gを組み合わせることで、圃場(ほじょう)内での精密農業が実現する。農業人口の減少が深刻な新潟県の農業においても、この技術が将来の担い手不足への対応策になりうる。
建設分野では、危険な現場や遠隔地での重機操作を、安全な場所にいるオペレーターが5G経由でリアルタイム制御する取り組みが進んでいる。
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第3節)
ローカル5G——中小企業が自社施設内に5G環境を構築できる選択肢
【ローカル5Gとは】
ローカル5Gとは、通信キャリアの全国ネットワークとは独立して、企業や自治体が特定のエリア(工場・病院・農場等)に自ら構築・運用できる5G通信環境のこと。外部の通信事業者に依存せず、自社専用のネットワークを持てる。
ローカル5Gは、通信キャリアのサービスを待たずに自社専用の5G環境を構築できる仕組みだ。工場内・農場内・倉庫内など、特定のエリアに閉じた高速・低遅延通信を実現できる。
総務省は「ローカル5Gをはじめとする様々なワイヤレスシステムを柔軟に組み合わせた地域のデジタル基盤の整備と、そのデジタル基盤を活用する先進的なソリューションの実用化を一体的に推進する」方針を示している。
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第3節 / https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html )
ローカル5Gの導入費用は数百万〜数千万円規模になるケースが多く、単独での導入が難しい中小企業も多い。しかし、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)などの補助制度を活用することで、初期費用の負担を軽減できる可能性がある。
「インフラは整っているのに活用が進まない」のはなぜか——白書シリーズで見えた構造
【このセクションの結論】
ICTインフラは「ある」。AIツールも「ある」。それでも中小企業のデジタル化が進まない根本原因は、㊺・㊻の白書シリーズで示した「人材不足」「ベンダー丸投げ構造」「アナログ文化」にある。インフラの整備と活用能力は別問題だ。
白書シリーズで見えた「活用できない構造」の接続
本記事は令和7年版情報通信白書を読み解くシリーズの第3回だ。前2回と今回の関係を整理する。
- 第1回(㊺):「日本企業のAI利用率55.2%は4か国最下位。中小企業の約70%がデジタル化未実施」という「何が起きているか」
- 第2回(㊻):「内製化率35.7%・テレワーク積極活用14.5%。原因はベンダー丸投げ構造とアナログ文化」という「なぜ変わらないか」
- 第3回(本記事):「ICTインフラは世界トップ水準。問題はインフラではなく使い方にある」という「使える土台はどこまで整ったか」
この3つを重ね合わせると、答えは一つしかない。足りないのは、インフラでもツールでもなく、「自社の業務のどこに、どうやってこれらを活かすか」を、経営の言葉で意思決定できるリーダーの存在だ。
光回線が引けても「クラウドに何を移行するか」を決められない。5Gが飛んでいても「どの現場作業をスマホで効率化するか」を整理できない。インフラという難しい仕事は、行政と通信キャリアがすでに終わらせてくれている。あと必要なのは、「自社に合わせて翻訳して、使う決断をする」ことだけだ。
📄 関連記事:白書第1回——令和7年版情報通信白書から読む中小企業のAI活用 → 中小企業AI活用・白書解説(第1回)
📄 関連記事:白書第2回——中小企業の人材不足はなぜデジタル化で解決しないのか → 人材×デジタル化・白書解説(第2回)
通信インフラの活用を阻む「使い方を決める人がいない」問題
白書が示す「デジタル化に関する課題」のトップは「人材不足(48.7%)」だった(第1回・第2回で詳述)。このデータが示す本質は「通信インフラの使い方を経営判断として決められるリーダーがいない」という問題だ。
光回線が引けても「クラウドに何を移行するか」を決める人がいない。5Gが届いていても「どの業務プロセスに5Gを活かすか」を整理する人がいない。インフラの整備は行政と通信キャリアが担ってくれている。残る仕事は「自社でどう使うかを決める意思決定」だけだ。
2030年を見据えたICTインフラの変化——Beyond 5G(6G)と中小企業への影響
【このセクションの結論】
2030年代には「Beyond 5G(6G)」が次世代の産業基盤になる。今から活用体制を整えることが、次の10年の競争力に直結する。
Beyond 5G(6G)とは——2030年代の産業基盤になる次世代通信
【Beyond 5G(6G)とは】
Beyond 5G(6G)とは、5Gをさらに進化させた次世代情報通信インフラのこと。2030年代のあらゆる産業・社会活動の基盤になると見込まれており、総務省が「Beyond 5G推進戦略2.0」(2024年8月)を策定して研究開発を推進している。
白書によると「5Gの次の世代の情報通信インフラ『Beyond 5G(6G)』は、2030年代のあらゆる産業や社会活動の基盤となることが見込まれている」と明示されている。
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第3節)
6Gが実現するとされる主な性能は以下だ。
- 5Gの10倍以上の超高速通信:より大容量のデータを瞬時に処理
- より低い遅延(0.1ミリ秒以下):さらに精緻なリアルタイム制御が可能に
- 通信と感知の融合(センシング):通信しながら周囲環境をセンシングし、AIと連動した自律制御が実現
中小企業にとっての意味は、今の5G活用体制を整えておくことが6G時代の移行コストを最小化するということだ。通信インフラは積み重ねで進化する。5Gを活用しない企業が6Gを活用できるわけではない。
デジタルインフラ整備計画2030の概要と中小企業への意味
総務省は2024年8月に「デジタルインフラ整備計画2030」を策定した。主な方針は以下だ。
- 高速・大容量通信を可能にする高周波数帯(サブ6・ミリ波)の活用推進
- 多数同時接続や超低遅延を実現する「5G SA(Stand Alone)」の普及
- 非居住地域(道路・山間部など)を含む「どこでもつながる」通信環境の確保
- ローカル5Gを活用した地域のデジタル基盤整備の推進
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第3節 / https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html )
この計画が示す方向性は明確だ。2030年に向けて、都市だけでなく地方・農村・産業現場に至るまで高品質な通信環境が整備される。新潟のような地方の中小企業にとっても、ICTインフラの「量の格差」は今後さらに縮小していく。
災害時にも強い会社を作る「インフラの強靱化(BCP対策)」
2024年1月の能登半島地震では、通信インフラへの影響が深刻だった。白書によると「携帯電話が長時間にわたって利用できない状態が発生するなど、被災地での情報取得や救助活動に支障が生じた」とある。
(出典:総務省「令和7年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第3節「災害時にもつながる環境の構築に向けて」)
この教訓から総務省は、衛星回線の活用や大容量蓄電池の設置による携帯電話基地局の強靱化を推進している。
中小企業の視点では、以下のBCP(事業継続計画)観点での備えが必要だ。
- 有線・無線の2系統確保:光回線が断絶した場合にモバイル回線(5G)でバックアップする
- クラウドへのデータ移行:物理サーバーに依存しないデータ管理で、拠点被災時も業務継続できる
- 衛星通信の検討:離島・山間部にある事業所は、停電・回線断に備えたスターリンク(Starlink)等の衛星通信をバックアップとして検討する価値がある
中小企業が今すぐできる「ICTインフラ活用」3つのアクション
【このセクションの結論】
「インフラは整っている」という前提のもとで中小企業が取れる行動は、大掛かりな設備投資ではない。「棚卸し」「クラウド移行の見直し」「補助金確認」の3ステップから始められる。
アクション① 自社の通信環境を棚卸しする
まずは、お金をかけずに現状をチェックしてみよう。以下の4点を確認するだけで、自社のICT活用の現在地がわかる。
- 光回線は引いているか:引いている場合、契約プランの速度と実際の通信速度を確認する(無料のスピードテストツールで計測可能)
- Wi-Fiルーターの世代:Wi-Fi 5(802.11ac)以前の場合、Wi-Fi 6(802.11ax)への更新で通信速度が大幅改善する
- 社員のスマホは5G対応か:5G対応端末を使っていても、プランが4Gのままでは5Gの恩恵を受けられない
- クラウドサービスの通信速度は十分か:Microsoft 365・Google Workspace・kintone等を使っている場合、動作が遅いと感じる原因が回線速度にあるケースがある
アクション② クラウド移行と光回線速度の見直し
クラウド移行と通信速度の見直しはセットで考える必要がある。クラウドサービスの効果を最大限に引き出すには、安定した高速回線が前提になる。
- クラウドストレージへの移行:OneDrive・Dropbox・Googleドライブへのファイル移行は、光回線環境があれば設定は容易。ファイルサーバーのメンテナンスコストを削減できる
- ビジネスチャットツールの導入:Slack・Teams・Chatworkは、光回線があれば追加設備不要で導入可能。メール中心のコミュニケーションから脱却できる
- 回線プランの見直し:同じ光回線でも、ビジネス用プランに変更するだけで通信の安定性が向上し、SLA(サービスレベル保証)も付くケースが多い
アクション③ ローカル5G・IoT導入の補助金を確認する
規模の大きい5G活用(ローカル5G・IoTセンサー大量導入)を検討する場合、補助金を活用することで初期投資を抑えられる。
- デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金):AIツール・業務システムの導入費用を補助。通信環境整備との組み合わせで申請できるケースがある
- 中小企業庁の設備投資支援策:IoT・センサー等の設備導入に活用できる制度がある
- 総務省のローカル5G関連補助:「携帯電話等エリア整備事業」として、条件不利地域での5G基地局整備に対する補助制度がある
まず「自社の課題を解決するために何が必要か」を整理してから補助金を探す順番が重要だ。「補助金が出るから何か買おう」は絶対に失敗する。 必ず「自社のこの業務課題を解決したい」が先、補助金は後という順番を徹底しよう。
📄 関連記事:AI・IoT導入に使える補助金の詳細 → デジタル化・AI導入補助金2026ガイド
ICTインフラ活用の自社現状チェックリスト
- [ ] 自社の光回線の通信速度を実測したことがある(スピードテストを実施済み)
- [ ] 社内のWi-FiルーターがWi-Fi 6(802.11ax)以上に対応している
- [ ] 社員のスマートフォンが5G対応プランで契約されている
- [ ] 社内のファイルサーバーをクラウドストレージに移行している(または検討中)
- [ ] 大規模停電・回線断に備えたBCP(事業継続計画)の通信バックアップがある
- [ ] 5Gやローカル5Gを活用できる業務・課題が何か、一度でも検討したことがある
経営の右腕としての視点——「インフラは、翻訳してもらって初めて武器になる」
【このセクションの結論】
通信インフラの話を「エンジニアの世界」で終わらせると、中小企業に何も残らない。「この光回線・5Gを自社の業務でどう使うか」を経営の言葉に翻訳することが、ITコーディネーターの本来の仕事だ。
「使える環境はある」が「使い方がわからない」は解決できる
光ファイバ99.84%・5G98.1%という数字は、政策と通信キャリアが作ってくれたものだ。しかし「その回線で何をするか」は中小企業自身が決めなければならない。
ここに「翻訳者」の役割がある。通信の専門家は回線を作る。ITベンダーはシステムを売る。しかし、「御社の売上を上げるために、この光回線とクラウドをどう組み合わせるか」を経営者の言葉で語れる人間が、日本の中小企業の8割には存在しないという事実が白書で示されている(AI・データ解析専門家の在籍率20.6%)。
ITコーディネーターに相談すべき3つのタイミング
ITコーディネーターとは、経済産業省が推進する民間資格(ITコーディネーター協会が認定)の保有者で、特定のツールやベンダーに依存しない中立的な立場で、経営視点からIT活用を支援する専門家のことだ。
ICTインフラ活用において、ITコーディネーターへの相談が最も効果を発揮するタイミングは以下の3つだ。
- 通信環境の棚卸し・改善計画を立てるとき:現状把握から「どこをどう変えるか」の優先順位まで一緒に整理できる
- クラウド移行・ツール選定の前:ベンダーに相談する前に「何が本当に必要か」を整理することで、過剰な投資を防げる
- 補助金申請の前:「補助金で何を買うか」ではなく「どんな業務課題を解決したいか」から逆算した申請計画を設計できる
📄 関連記事:ITコーディネーターとは何をしてくれるのか → ITコーディネーター活用ガイド
📄 関連記事:白書第1回・第2回——AIと人材から読む中小企業のデジタル化現状 → 白書第1回:中小企業のAI活用現状 → 白書第2回:人材不足とデジタル化の構造問題

よくある質問(FAQ)
-
日本の5G人口カバー率は何%ですか?
-
昨年(2025年7月)公表された「令和7年版情報通信白書」のデータでは98.1%(2023年度末)です。全都道府県で85%超をカバーしています。
-
光回線とFTTHは同じものですか?
-
FTTHは光ファイバを家庭・オフィスまで直接引き込む方式の総称で、光回線の一種です。フレッツ光・auひかりなどが代表的なFTTHサービスです。
-
ローカル5Gを中小企業が導入するにはどれくらいの費用がかかりますか?
-
規模・エリアにより数百万〜数千万円程度が目安です。補助金活用で負担を軽減できます。まず補助金申請前に要件整理のためITコーディネーターへの相談をおすすめします。
-
5Gがあればテレワークの通信品質は改善しますか?
-
大きく改善します。ただし端末・プランの5G対応が前提条件です。自宅のWi-Fiルーターがボトルネックになるケースも多いため、全体の棚卸しが必要です。
-
Beyond 5G(6G)はいつごろ使えるようになりますか?
-
白書によると2030年代の産業基盤として想定されています。ITU(国際電気通信連合)では2030年頃の完成を目標に標準化を進めています。
-
中小企業のICTインフラ整備についてITコーディネーターに相談できますか?
-
はい。私たちは「現場の痛みがわかる実務家」ですので、オフィスの配線やルーターの確認といった泥臭い現状把握から喜んで伴走します。詳細は→ ITコーディネーター活用ガイド をご参照ください。
出典・参考資料
- 総務省「令和7年版情報通信白書」(2025年7月8日公表) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/index.html
- 図表Ⅱ-1-2-1 人口100人あたりのブロードバンド契約者数(OECD比較) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html#f00126
- 図表Ⅱ-1-2-2 人口100人あたりのモバイルブロードバンド契約数 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html#f00127
- 図表Ⅱ-1-2-5 我が国の光ファイバの整備率(2022年度末) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html#f00129
- 図表Ⅱ-1-2-6 我が国の5G人口カバー率(2023年度末) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html#f00130
- 図表Ⅱ-2-3-2 5Gの特長 総務省「令和7年版情報通信白書」第Ⅱ部第2章第3節
- OECD Broadband statistics https://www.oecd.org/en/topics/sub-issues/broadband-statistics.html
投稿者プロフィール

- 代表
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プログラマーとしてキャリアをスタートし、製造業の社内SEとして「工場」の論理を、士業事務所の社内SEとして「先生」の論理を肌で学んできました。異なる文化を持つ組織の中でITを推進するには、技術力以上に「聴く力」と「翻訳力」が必要です。
現在はその経験を活かし、新潟の中小企業のDXを支援しています。
ITコーディネーター/上級ウェブ解析士/上級SNSマネージャー







